19.進化の直接的経験、運命のデザイン

われわれは以下に述べる3つの方法で進化を直接的に経験できる。
まず第一は、<系統樹>としてである。それは歴史的時間と逆方向に枝を広げ、
時間、空間を超えて、すべての系統的生物門が経てきた経験へと、われわれを
導いてくれる。第二は、歴史的時間と同方向に伸びる<根>(ルート)だ。
そして、<レ・リジオ>の能力により、共通の始源にいたる連鎖を遡ることが
できる。レ・リジオは未形成の領野に開かれた可能性、新たな進化的発生ライン、
すなわち新たな現実(リアリティ)を生み出す。第三は、歴史的時間の方向を
横断する<根茎>(リゾーム)である。そこでは、時空に広がった進化が
現在に凝縮される。リゾームはあらゆる種類の生成を表象する。


現在に過去を持ちこむことにより、時間・空間を結合させる経験の樹木<系統樹>、
始源にいたる連鎖を遡ることで新たな進化可能性を生み出す<レ・リジオ>、
この二つに、さらに<リゾーム>のイメージを加えることで、はじめて時間-空間結合は
現在で効果的に働くものとなり、情報は真に実用的(プラグマティック)になる。
この三重の経験をとおしてこそ、歴史的時間を止揚することができ、
運命はデザインの主題となる。